やらまいかツーリズム

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四猿の寺・庚申寺で体験する、線と色に向き合う時間|自分だけのゼンタングル塗り絵

線と色に身を委ね、今この瞬間に心を置く「ゼンタングル塗り絵」。完成を目指すのではなく、描かれた模様に色を重ねる行為そのものが思考を鎮め、内側へと意識を導いていく塗り絵の手法です。ゼンタングルとは、「禅(Zen)」と「絡まる(Tangle)」を組み合わせた造語でもあります。

浜松市の庚申寺(こうしんじ)で行われている体験では、住職の奥さまが描いたオリジナル図案を用い、静けさに包まれた空間の中で、自分と向き合う時間が流れます。描き終えたあとは、住職手作りのチーズケーキと温かな飲み物をいただく。日常から一歩距離を置き、心をととのえるための、穏やかで奥行きのあるひとときです。

  • 季節
    通年
  • 日程
    平日指定日(祝日含む)午前 10:00~11:30 / 土曜・日曜の指定日 午後 14:00~15:30 各回約90分間
  • 人数
    2~8名
  • 料金
    大人2,000円/名、子ども(小学生)1,000円/名 ※幼児の見学・同行可能
  • コース
    お話 → ゼンタングル塗り絵 → ご朱印書き入れ → 住職手作りのチーズケーキと温かいお飲み物をいただく
  • 住所
    【集合場所】庚申寺(こうしんじ)本堂入口 :静岡県浜松市浜名区宮口635
  • アクセス
    天竜浜名湖鉄道「宮口駅」から徒歩約5分 / 遠州鉄道西鹿島線「小松駅」からバス約15分 / 新東名浜松SAスマートIC約10分、駐車場あり
  • 連絡先
    【体験内容についてのご連絡】庚申寺(こうしんじ):053-589-8430
  • その他
    【予約システムに関するお問合せ】(公財)浜松・浜名湖ツーリズムビューロー:053-458-0011 (平日のみ9:00~18:00)
    ※日曜祝日および時間外は[予約申込はこちら]→[このプランに問い合わせる]からフォームへ入力をお願いします。

    【注意事項】
    ・本体験は日本語のみでのご案内となります。

 

 

 

街道の記憶と、宝珠を抱く猿が迎える寺

 

浜松市浜名区にある庚申寺は、かつて人や物が行き交った街道沿いに位置し、今もその面影を静かにとどめています。

 

観光地として華やかに整えられているわけではありませんが、歩くほどに、この土地が積み重ねてきた時間がじんわりと伝わってきます。

 

 

江戸時代以降、庚申信仰(※)の高まりとともに、五穀豊穣や無病息災を願う人々の祈りがこの地に集まり、地元の方から「宮口の庚申さま」と親しまれてきた庚申寺。

 

宮口はその門前町として栄え、やがて秋葉山や奥山方広寺へ向かう人々の中継地としての役割も担っていきます。

 

さらに、木材や茶、繭などを扱う集散地としても発展し、人の営みとともに、古くからまちなみが形づくられてきました。

 

庚申信仰(こうしんしんこう)と庚申寺
古くから日本で受け継がれてきた信仰の一つです。人の体の中には「三尸(さんし)」という虫がいるとされ、庚申(かのえさる)の日の夜、人が眠っている間に天へ昇り、その人の悪事を神さまに告げると考えられてきました。
そこで、庚申の日には人々は集まって夜通し眠らずに過ごし、自らの行いを省みて心身を清める風習が生まれました。この信仰は、自分自身を見つめ直し、心を正す時間を大切にするという教えにもつながっています。
庚申寺は、近世において遠州地方一円の庚申信仰の拠点として信仰を集め、現代にもその教えを伝えているお寺です。浜松市指定有形文化財「二十四孝図絵馬」を所有しています。

 

 

庚申寺を訪れてまず目に入るのが、山門に配された猿の姿です。一般的に知られる「見ざる・聞かざる・言わざる」の三猿に加え、ここには宝の珠を抱いた四匹目の猿がいます。

 

この猿は「宝珠猿(ほうじゅざる)」と呼ばれ、願いを叶えてくれる存在として大切にされ、庚申堂前にも鎮座し、訪れる人を迎え入れてくれます。

 

 

はじまりは、心をととのえる時間

 

体験の最初はお話を聞く時間から始まります。庚申寺の歴史や庚申信仰、そして猿たちに込められた意味について。何を見るのか、何を聞くのか、どんな言葉を選び、どのような思いを心に抱いて生きていくのか。

 

四猿の教えは、日々の暮らしの中で見過ごしがちな心の動きを、そっと立ち止まらせてくれます。

 

 

塗ることが、回復の時間を支えた経験から

 

話を聞き終えると、落ち着いた雰囲気の別室へと移動します。机の上に並ぶのは、住職の奥さまが描いたオリジナルのゼンタングル塗り絵。細かな線と模様が連なり、どこから塗り始めてもよい、自由な構成です。

 

塗り絵は、猿やだるまをモチーフにしたものなどさまざま。お子さまから年輩の方まで、それぞれのペースで楽しめるよう、難易度の異なるものが用意されています。

 

 

この塗り絵の背景には、奥さま自身の体験があります。かつて病に倒れ、要介護の状態になったとき、リハビリの一環として住職から勧められたのが、まんだら塗り絵でした。

 

 

色を塗ることに集中する時間は、先の見えない不安や焦りから心を離し、「今ここ」に意識を戻してくれたといいます。そして体が少しずつ回復し、日常を取り戻す中で、偶然知ったのがゼンタングルという言葉でした。

 

描くこと、塗ることが心を支えてくれた。その実感があったからこそ、この時間を誰かと分かち合いたいと思うようになったそうです。

 

 

集中の先に、静かな願いが浮かぶ

 

塗り絵が始まると、部屋は自然と静まり、集中の時間に。色を選び、線の流れに沿って手を動かすうちに、頭の中の雑音が少しずつ遠のいていきます。

 

 

塗り絵はきれいに仕上げる必要はありません。はみ出しても、思いがけない色の重なりになっても、それもひとつの表情。ただ塗ることに集中する時間が、心をやさしくととのえていきます。

 

 

模様をひとつ塗り終えるごとに、小さな達成感が積み重なり、完成したときには胸の奥に静かな満足感が残ります。

 

 

同じ図案でも、完成した作品は一枚として同じものがありません。それぞれの色選びや塗り方に、その人らしさが自然とにじみ出ます。

 

 

作品にご朱印を書き入れ、額に収めれば、世界で一つだけのオリジナルご朱印が完成します。

 

甘い余韻と、心に残る静けさ

 

塗り絵のあとは、住職手作りのチーズケーキと、温かい飲み物が用意されます。普段から販売もされているこのチーズケーキは、素朴でやさしい味わい。集中したあとの身体に、穏やかに染み渡ります。

 

言葉を交わしても、黙って味わってもいい。その余白が、ほどけた心をさらに深く落ち着かせてくれます。

 

 

願いを抱き、日常へ戻る

 

庚申寺でのゼンタングル塗り絵体験は、願いを強く祈る場ではありません。それでも、心を静め、整えることで、自分にとって本当に大切なものが、自然と見えてくる時間です。

 

三猿の教えにふと立ち止まり、宝珠猿にそっと願いを託す。その一連の時間を通して、気持ちは静かに整い、また日常へと歩み出していきます。

 

慌ただしい毎日の中で、自分の心と向き合うきっかけを探している方に、そっとすすめたくなる体験です。

 

 

体験内容

 

体験時間は2時間ほど。まずお寺の歴史や四猿についてのお話を伺うところから始まります。静かな空間で耳を傾ける時間は、日常から気持ちを切り替える大切な時間となります。

 

その後、別室へ移動し、住職の奥さまが描いたオリジナルのゼンタングル塗り絵に取り組みます。図柄はすべて手描きで、決まった正解はありません。色や線に意識を向けながら、無心で塗り進めることで自然と集中が深まり、瞑想に近い穏やかな時間が流れます。

 

塗り絵のあとは、住職手作りのチーズケーキと温かい飲み物をいただきながら、完成した作品を眺めつつ余韻を楽しみます。自分の手で仕上げた一枚が、静かな達成感と心のやわらぎを残してくれる体験です。

 

 

 

 

ガイド紹介

 

庚申寺 住職 仲山好徹(こうてつ)さん 好友(こうゆう)さん 

 

ともに浜松市出身。境内で開催するマルシェ「庚申寺門前市」を数年前から不定期で開き、人と人が自然につながる場を育んでいます。さらに、寺ヨガやタロットリーディングなど、境内で行われるさまざまな催しを通して、寺の日常や行事の様子を発信。訪れる人が肩の力を抜いて立ち寄れる場所として、庚申寺の風景を静かにひらいています。

*体験のガイドは、好徹さん・好友さんのいずれかが務めます。

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