EXPERIENCE

  • 手捺染に挑戦する観光アンバサダーの二人。8万通りの組み合わせから色を考える
  • 捺染の版にノリをつけていく山城ゆうこさん
  • 武藤染工さんで手捺染に挑戦するしらいふうなさん
  • 手捺染によるオリジナルのハンカチが完成
  • 武藤染工の工場長永田さんに工場を案内してもらう観光アンバサダー
  • 武藤染工さんで実際に染色された生地を手に取るしらいふうなさん
  • 武藤染工さんの25mもある手捺染の台
  • 武藤染工さんの干し場を見学する観光アドバイザー
Culture

伝統工芸の「手捺染(てなっせん)」でオリジナル・ハンカチづくり。約8万通りの組み合わせからあなただけの色に染めよう!

浜松には、「手捺染(てなっせん)」という伝統工芸の技法が息づいていることをご存知ですか? じつは「手捺染」とは、着物の友禅染めを代表する染色技法(型染め)のひとつなのです。手捺染には、大量の良質な水が必要とされ、天竜川の水源豊かなここ浜松市でも受け継がれてきた伝統技法です。 日本でも有数の手捺染の工場である武藤染工さんでは、さまざまな染色技法を手がける工場見学と手捺染の体験をすることができます。約8万通りの染料・生地・柄の組み合わせから、あなただけのオリジナル・ハンカチをつくりませんか? 【こんな人にオススメ!】■ものづくりが好きな人 ■唯一無二のお土産が欲しい人 ■工場見学に関心のある人
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遠州産地の「染め」を支える老舗染色工場

 

創業1961年。時代は高度経済成長期の真っ只中にあり、まさに人々の暮らしが豊かになる中で産声をあげたのが、浜松市の染色工場「武藤染工」さんです。

 

武藤染工さんは、浴衣や手ぬぐいなどを染める「注染そめ」からはじまり、小幅の和装物(主に旅館着やお祭り用の浴衣や法被)、広幅のアパレル衣料の服地(洋服の生地)の「捺染そめ」まで、「染め」を専門に請け負う加工工場です。

 

浜松市内に2ヶ所点在する工場のうち、今回紹介するのは、浜松ICから車で10分ほどの小池工場(中央区小池町)。主に捺染そめを手掛ける工場です。外壁に大きく描かれた「武藤染工」の文字が目印。

 

 

新旧活躍する大型機械が並ぶ工場内

 

車道添いにひっそりとあるシャッターの入口を潜ると、中からは「ガッチャンガッチャン」といった機械音が聞こえてきます。音のなる方へ進むと、そこには入口からは想像できない大型の染色機械が並び、ひっきりになしに生地が左右、上下と忙しく回転している様子に圧倒されます。

 

歴史を感じさせる染色機械の多くは捺染を自動で行うもの。捺染とは、染料を糊に溶かした色糊を使って型で生地に模様をプリントする、型染めの染色技法をさします。

 

 

染色工場では、夏には冬物を、冬には夏物の服地づくりを行なうのが慣例だといい、武藤染工さんに6月に訪れた際には、秋祭りの浴衣や法被の準備で大忙しでした。これほど大きな機械があっても、捺染前の細かな調整はすべて手作業。手際よく機械を使いこなす姿に職人技が光ります。

 

さらに工場の2階には、部屋一面に全長約25mにも及ぶ手捺染の作業台が広がります。1階とはまったく異なる光景に、思わず声をあげてしまうほど圧巻の大空間です。この手捺染台は、手ぬぐいや法被、踊り絵羽浴衣など、小幅の生地を捺染するために用いられています。

 

 

2人の職人が阿吽の呼吸でスキージ(版の上にインクを乗せてインクを押し出すためのゴム製のヘラ)を移動させて捺染します。職人の経験や感性によって仕上がりも変化するのだとか。

 

これほど大きな手捺染台を所有する工場は遠州産地はもちろん国内でも珍しく、時代とともに惜しくも閉業していく工場があるなかで、手捺染でしかできない風合いを求めて武藤染工さんに全国から注文が集まっているそうです。

 

 

工場見学や染色体験キットなど、「染め」を日常に

 

武藤染工さんの魅力は、伝統技術を守るだけではありません。「染め」の魅力を身近なものにするための発信も取り組んでいます。

 

たとえば、小学校を中心に工場見学や体験を積極的に受け入れています。ときには、約100名の小学生が武藤染工さんを訪れ、その仕事ぶりに触れることもあるとか。「染め」という仕事を後世へとつないでいく努力を惜しみません。

 

最近では、自宅で「染め」を体験をすることのできる体験キットを発売したことも話題になりました。その名も『はさんで染める△(さんかく)ふじさん《染色キット》』。キットに含まれているハンカチや手ぬぐいをたたんで、アクリル板にはさんで染料に漬け込むことで染めていきます。真っ白な生地が徐々に染まることで、まるで富士山のように。「染め」を視覚的に体験できると評判です。

 

プレゼントやお子さんの自由研究にも。工場内での販売もされているので、お土産に最適です。

 

 

体験内容

 

1.工場見学(約30分)

 

武藤染工さんでの体験プログラムは、まずは工場見学からスタートします。会社の歴史や成り立ちを簡単に説明があった後、工場内の案内にうつります。旅館着やお祭りの浴衣、洋服など生活に身近な製品が、どんな機械でどのように染められているのか、丁寧に説明してくれます。

 

 

工場内にはところ狭しと置かれている型。浜松市内はもちろん、全国からの注文もあるため、型を見ているだけでも日本各地を旅している気分に。

 

 

2.手捺染の体験(約1時間半)

 

工場内の見学が終わったら、いよいよ手捺染の体験。武藤染工さんでは、約36cm版のハンカチを実際にプリントすることができます。

 

➀3種類の柄から一つを選びます。

武藤染工さんでは、3つの柄から一人1つ選ぶことができます。

オススメは、浜松・浜名湖観光アンバサダーが着用しているスカーフと同じモチーフのもの。浜松市在住の染色作家・桂川美帆さんによるデザインです。

浜松や浜名湖にちなんだ動植物やアクティビティが全面にちりばめられた柄が特徴で、浜松の観光土産にもぴったりです。

 

 

②4色の生地から一枚選びます。

 

 

③選んだ柄の版の枚数に合わせて、18色の中から3〜4色を選びます。

 

 

➃捺染の版に色糊を乗せ、スキージで擦ります

 

 

➄色を固着(定着)させて、完成

 

【オリジナル・ハンカチの完成!】

 

ほかにも和柄やハイビスカス柄のハンカチをつくることができます。お土産に『はさんで染める△(さんかく)ふじさん《染色キット》』やオリジナル手ぬぐいも購入可能です。

 

 

※当記事では「オリジナル・ハンカチ」または「ハンカチ」と記載していますが、完成後お持ち帰りいただくものは両端の縫製をしていないハンカチサイズの布です。使用または洗濯をされる場合は、ご自分で両端の縫製をしていただくことをおすすめします。

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