時を越えて響き続ける音色
地元の人たちから「赤電」の愛称で親しまれている、遠鉄電車の曳馬駅をおりて徒歩10分。閑静な住宅街に、かわいらしい3匹の猫たちの看板が目印の「昭和楽器製造」が目に入ります。
工房の扉を開けるとハーモニカの音色が響き渡り、昭和レトロな雰囲気に。
普遍的な音楽の原点
昭和22年、創業者である酢山陸平さんは銀行員という安定した職業を捨て、戦争で職を失ったハーモニカ職人の仲間たちと共に小さな工場を立ち上げたのが昭和楽器製造のはじまり。
一つ一つ手作業で作ったハーモニカは評判を呼び、戦後間もない人々の疲弊した心身に、ハーモニカの音色は安らぎをもたらしました。
新しい時代を告げるメロディ
その後、日本の代表的なハーモニカ奏者である宮田東峰さんと出会い、大きな転機を迎えた昭和楽器製造。
宮田さん指導の下に発売されたハーモニカ「スペシャルミヤタ」は、人々に評判を得て大人気に。当時の百貨店のショーウィンドウもスペシャルミヤタ一色になったのだとか。
さらに浜松駅では「ハーモニカ娘」と呼ばれる販売員が、お弁当販売のようにハーモニカを販売するほど、ハーモニカ人気に拍車がかかっていました。
いつでもどこでも、気軽に楽しめる音楽
時代は変わり、ハーモニカの需要も変化。そんな時代の流れに合わせて、昭和楽器製造でも、さまざまな種類のハーモニカを開発。
お土産用のミニハーモニカから、プロが愛用する本格的な複音ハーモニカまで、幅広いラインナップを取り揃えています。
かつては子供たちが手軽に楽しめる楽器としての側面が強かったハーモニカですが、近年では、本格的な演奏を楽しむ大人向けのモデルも増えてきました。
細部にこだわる精密な技
工房の奥には年季の入った作業台が鎮座。この作業台でハーモニカの心臓部分であるリードの状態を整えます。
足元のペダルを踏んで空気を送り込み、音を出し、熟練の職人が長年の経験で培った感覚や技術を用いて、機械ではできない細やかな調整を行います。
体験内容
工房見学は、営業部長の中澤さんの解説で、昭和楽器製造の創業時のストーリーや、ハーモニカの歴史や作り方などを、映像も用いながらわかりやすく説明をうけます。
浜松がどのような経緯で楽器のまち、音楽のまちになっていったのかなど、理解が深まったあと、ハーモニカの音色が響く工房へ案内されます。調整、組み立て作業を見学してから、実際に作業台でハーモニカのリードの調整を体験することができます。所要時間は1時間15分ほど。
見学後には、昭和楽器製造のミニハーモニカの中でも最高級モデル「プレミアムゴールド」をプレゼント。手のひらに収まるほどのコンパクトさですが、1オクターブ8音でさまざまな曲を演奏することができます。
昭和楽器製造株式会社 取締役営業部長 中澤 哲也さん
東京都出身。もともとは大手自動車メーカーに勤務していましたが、結婚を機に浜松へ移住。昭和楽器製造では、営業担当として、お客さまとのつながりを大事にしながら販路を拡大しています。伝統を大切に、軸をしっかりと持ちながら新しいことを挑戦中。最近開発したハーモニカのリードを使った笛「浜松元気笛」は、音色を楽しむのはもちろん、防災時、災害時にも活用できます。
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